アルバート・アインシュタインが発見したこと
アルバート・アインシュタインが発見したこと
未だに、アルバート・アインシュタイン(A.E)が原爆と作ったと勘違いしている人がいるようなので、A.E.が発見したことの概要を簡単に書いてみたいと思います。
1.光速度不変の原理と相対性原理
A.Eは特殊相対性理論を発見したと言われることがありますが、本当の意味で発見したのは「光速度不変の原理」です。
特殊相対性理論というのは、光速度不変の原理を出発点とすれば、誰もが数学的な操作で導くことができる結果やその導出過程のことを言います。古典力学で言えば、慣性の法則、作用反作用の法則及び万有引力の法則から様々なことが導かれるようなものです。
ただし、古典力学は多くの人が関わって理論体系ができあがったのに対して、A.Eは特殊相対性理論のほとんどを一人で導出した点で違いはあります。
「光速度不変の原理」は、簡単に言うと「どのような慣性系から見ても光の速さ一定である」というものです。まさに原理と呼ぶに相応しい単純明快な内容ですが、こういうことが原理として取りざたされたことには事情があります。詳しくは、私が以前書いた「簡単な電磁気の考察から見える特殊相対性理論の入り口」読んでもらえるとわかりますが、「光速度不変の原理」が発見される以前は、力学と電磁気学の法則の間に深刻な矛盾が生じていました。例えば、線状の荷電剛体に対して静止していれば電場のみがありますが、これと平行な方向に移動する慣性系からは電流が発生しているのと同等なので、アンペール法則により磁場も発生します。つまり、線状の荷電剛体に対して静止している慣性系では電場のみ、移動する慣性系では電場と磁場があることになります。「全ての慣性系で物理法則の形式が同じである」ことを「相対性原理」と言い、当然成り立つものと考えられていましたが、この原理に反します。
こういう矛盾を取り除く原理として、A.Eが発見したのが「光速度不変の原理」です。「光速度不変の原理」から導出される相対的電磁気学では、電場と磁場は電磁テンソルというもので表現され、上述の例でも各慣性系で同じ形式の物理法則で記述され、慣性系間の関係もローレンツ変換という変換則で矛盾なく記述されます。
2.と原爆の関係
こういう経緯でA.E.が発見した「光速度不変の原理」ですが、この原理があまりにも基礎的なものであったため、力学と電磁気学は全般的に修正され、例えば、相対速度は単純な加算・減算では計算できない、光速に近い速さで移動する慣性系では時間が遅れる、光速に近づくと質量が重くなる等の結論が導出されました。
そんな中の一つとしてあったが、質量とエネルギーの等価性です。
物質の質量をとして、光の速さをとすれば、その物質が静止している時に有するエネルギーは次のように表されます。
光の速さはと非常の大きな数字なので、たった1gの1円玉でも膨大なエネルギーを有していることが想像できます。
核の利用というのは、この物質の質量をエネルギーに変換しようという試みです。放射性物質というのは、ゆっくりと時間をかけてエネルギー(放射性・放射能)に変換されている物質です。
原爆というのは、この物質からエネルギーへの変換を急激に起こして、爆弾にするものです。
そうすると、が原爆の開発に役立ったと思うかも知れませんが、この関係式は物質をエネルギーに変換することが可能かも知れないことを示しているだけで、その方法論については何も語ってくれません。
確かに、人類に核利用の可能性を最初に示しましたが、即原爆の開発に結び付くものでもないのです。