量子力学の軌跡解釈による二重スリットシミュレーション2~ドブロイ・ボーム解釈によるアプローチ
量子力学の軌跡解釈による二重スリットシミュレーション2~ドブロイ・ボーム解釈によるアプローチ
第1編「量子力学の軌跡解釈による二重スリットシミュレーション1~ド・ブロイ=ボーム解釈によるアプローチ」の続きとなり、式(1)~式(14)は第1編からの引用となります。また、第1編と同様に、「量子力学の軌跡解釈(ボーム力学)の概要」もしくは「量子力学の軌跡解釈のガウス関数への適用」から数式を引用することがありますが、その場合は「概要(3)式」「ガウス(3)式」のように表記します。
4.二重スリットの量子ポテンシャル
次に、二重スリットの量子ポテンシャルを求めて、どのような動きをするのか見てみます。そのためには、式(9)をに当てはめてを求め、それを概要(16)式に代入し計算しなければなりません。
(9)
式(9)を、に当てはめると、
(10)
(11)
( )
となります。量子ポテンシャルのうち、X方向で2階偏微分して求まる項は、「量子力学の軌跡解釈のガウス関数への適用」で計算した結果と同じなので、ここでは、Y方向で2階偏微分して求まる項のみを計算します。つまり、の因子は無視してよいことになります。
まず、式(10)を1階偏微分して、
さらに、2階偏微分すると、
=
これらを丹念に計算していくと、概要(16)式より、の場合の量子ポテンシャルは、
となります。
そして、「Xによる2階偏微分の項」は、ガウス(14)式ででとして、をに置き換え、(原子単位系)とすればよいので、
(12)
となります。
式(12)をプロットしてみると次のようになります。
まず、で量子ポテンシャルの変化を見てみます。
X方向に0.4の速度を保ったまま、Y方向はポテンシャルの低い方向に運動するため、量子ポテンシャルによって軌跡に粗密ができることが(粒子の軌跡はポテンシャルが谷の部分に集まります)わかります。
ただ、3Dでは分かりにくいうえ、以上では量子ポテンシャルがにほとんど依存しなくなるため、に固定して量子ポテンシャルの時間的な変化を見てみます。
時間が早すぎるので、1秒ずつにしてみます。
徐々に平坦になりつつも、ポテンシャルが中心付近で激しく振動し、波のように外に広がって行くことがわかります。
そして、最終的には真ん中からポテンシャルは徐々に平坦になっていきます。
これは、最終的にはY方向の運動も等速になることを意味しています。
最後にY軸と時間()量子ポテンシャルの様子を3Dグラフにしてみました。